「このワンチャンを通せば勝ちが見える!」
そして出来もしないホワイトホースに望みを託して自滅・・・。
ありがちですよね?
こんなドラマチックな勝負が成立するのはAAフライト以上のプロ級の猛者だけです。
Aフライト以下の腕前ではこんな局面を迎えた時点で負け確ですね。
大切なのは負け筋のなかでワンチャンを通す奇跡ではなく、負け筋を作らない堅実な勝負運び。
そのためには自分のスタッツに応じた正しい選択をすることが最重要。
今回はAフライト以下の『クリケット』の勝ち方について書いていきます。
『クリケット』は戦術勝負
前回書いた01の記事では、01はメンタル勝負だという説明をしました。
では、クリケットはどうか。
クリケットといえど基本的に同じダーツである以上、一投一投におけるメンタルの大切さは変わりません。
が、それを踏まえたうえでクリケットは『戦術』がとても重要になるゲームだと言えるでしょう。
ラウンド毎、スロー毎に変化する状況に応じて常に最善の選択を繰り返してゲームを進めるのがクリケットです。
自分のスタッツを常に意識しろ
DARTSLIVEのレーティングでは、AフライトはMPRで『2.90~3.49』となっています。
MPRとは
マーク(MARK)パー(PAR)ラウンド(ROUND)の略。
1ラウンドにおける平均マーク数のことです。
ややこしいので簡単に置き換えて「約3.0」ですね。
これは、1ラウンド3投で3マークが期待できる腕前だということ。
クリケットの戦術を組み立てるうえでは、この自分のスタッツを常に念頭においてすべての選択をするようにしましょう。
1スローで1マーク。
簡単なように思えて、確実に一投一投をしっかりシングルに入れるのはかなり難しいことです。
苦労してAフライトに昇ってきた方なら理解できますよね?
しかし、苦労してAフライトまで昇ってきたにもかかわらず、クリケットにおいてはこの「1スロー1マーク」を簡単に忘れてしまう人が本当に多いんです。
トリプルを狙うのは構いません。
むしろトリプルを狙いつつ、外した時に高確率でシングルで拾う軸のとり方なんかもAフライトまでくれば意識できている人も多いでしょう。
問題は、トリプルを狙うことではなく『トリプルに入る前提でゲームを組み立てようとすること』なんです。
「ここは一本目をトリプルで・・・」
「先にトリプルで〆ておいて・・・」
という考えのもとで3投の配分を決めてしまうことこそ自滅の負け筋。
だって、考えてみてください。
AフライトのスタッツはMPR3.0なんですよ?
どう計算しても『1スロー1マーク』ですから、「トリプルに入る」という前提がもう間違っているんです。
例題:あなたならどう攻める?
1マークのビハインド
図を見てください。
あなたはPlayer1です。
実力は互いにAフライト。
先行して20をオープンし20点加点したものの、相手に19をとられて18点ビハインドの2ラウンド目。
このラウンドの3投、あなたならどう攻めますか?
①3投すべて20の加点狙い
②点数でオーバーし次第19〆へ移行
③先に19を〆て、残りで20加点
まず③はあり得ませんよね。
クリケットのセオリーは『点数で上回ってから相手の数字を〆る』ことです。
どんな状況であってもこのセオリーが覆ることはありません。
万が一〆に失敗した場合、相手にノーリスクで大量リードのチャンスを与えることになってしまいますからね。
たまにプロでこのセオリーに反した攻めを行う場合がありますが、あれは高次元で拮抗した勝負の中で相手に精神的な揺さぶりをかける為の奇策です。
真似しても十中八九失敗しますよ。
次に間違っているのは②。
一見すると正解のようにも見えますが、大前提としてあなたの腕前はAフライト、MPR3.0です。
ということは、何度も繰り返しますが1ラウンドで期待できるマーク数は3.0、1スローにつき1マークです。
仮に1投目で20シングルに入れて点数オーバー、残り2投で19を〆に行くとしたら、期待できるのはせいぜい2マークと言うことになりますよね。
ここでしっかりと〆切れずに相手のラウンドとなった場合、相手の加点を防ぐことはできませんから、19に入れた2マークの効果は限りなく薄いものとなってしまいます。
以上のことから正解は①。
このラウンド内で点数オーバーと19〆が両立しないなら、可能な限り点数を盛っておくことが最善策です。
『3本投げる』と考えてしまうと1投に対して過剰な期待をしてしまいがちですが、あなたの一投は平均すると1マークの価値しかありません。
要は、『3本投げる』のではなく『3マークする』という考え方が重要と言うことですね。
絶えず状況は変化する
この例題、例外があるとすればそれは『投げた結果』から生まれます。
例えば一投目と二投目で4マーク、80点の加点に成功した場合。
この場合の点差は62点のリードです。
相手もAフライトですから、このラウンドで加点できる期待値は「57」。
この、相手の加点期待を上回るリードが作れた時に初めて、残りの一投で19を攻めるという戦術が浮上することになります。
相手がこのラウンドであなたの点数をオーバーする可能性は低いことになりますから、例え19〆の一投が1マークで終わったとしても、次のラウンドで19を〆に行くときの布石になります。
相手は19にマークが入ってしまったことで、「このラウンドでオーバーしなければ次で〆られる」というプレッシャーを感じるハズですから、勝負を優位に進めるための楔として効果を発揮しますね。
この選択肢については「正しい」と言い切ることはできませんが、確率的に考えて『アリ』な戦術だと思います。
そして重要なのは、この戦術の選択肢はお互いのスタッツを考慮した結果から生まれる戦術だということ。
決してその場の勘や雰囲気に流されたものではありません。
まとめ
クリケットは戦術がものをいうゲームです。
そしてその戦術は、スタッツや期待値と言った具体的な数字を根拠として初めて「独りよがり」を脱して効果を発揮します。
奇跡を待つのではなく、常に自分のスタッツを意識したゲーム運びをすることで勝率は安定して上がっていくでしょう。
そして、自分のスタッツを上げるには練習あるのみ。
常に『投げられる』環境を作って、レーティングをガンガン上げていきましょう。