2020年11月にRyzen5000シリーズCPUがデビューし、本記事執筆時点(2022年3月)まで約16ヶ月。
ちょっと待たせ過ぎな気もしますが、ようやく市場価格が落ち着き、さらにラインナップ拡充で選択肢が増え、Zen3世代が本領を発揮するときが来たようです。
2022年春はRyzen5000シリーズがアツい。
高すぎたRyzen5000番台と増えない選択肢
ゲーミングPCの売れ筋はミドルスペック帯なので、ここからは主にミドルスペック帯の主戦力となるRyzen5を軸に話をすすめます。
2020年11月、Ryzen5 5600Xがデビューしました。
Zen3世代に移行したRyzen5000シリーズは市場の期待を裏切らない高いパフォーマンスを発揮し、ゲーミングPCユーザーの需要を一手に引き受ける…はずでした。
が、ぶっちゃけ価格が高すぎた。
ミドルスペック帯のRyzen5でデスクトップ向けCPUと言えば、1世代前は売れに売れたRyzen5 3600。
価格は25,000円前後をキープしたため買いやすく、コスパに優れた超ロングヒットモデルでした。
さらに廉価バージョンで3500、OC対応バージョンで3600Xと上下モデルも出揃い、ミドルスペック帯のゲーミングPC構成の定番として長期間君臨しました。
で、その後を継ぐはずだったRyzen5後継モデルとして発売されたのは、なぜかRyzen5 5600Xのみ。
価格は約40,000円…。
とはいえこれは『X』なので、すぐに無印や廉価モデルも追加されて買いやすい価格帯に落ち着くだろうと期待して…16ヶ月が経ってしまいましたw
拡充されるRyzen5000シリーズ
拡充されるラインナップは以下のようになる見込みです。
モデル | 世代 | コア /スレッド | 周波数 (GHz) | キャッシュ (MB) | TDP | 価格 (USD) |
Ryze7 5700X | Zen3 | 8/16 | 4.6/3.4 | 36 | 65W | 299 |
Ryzen5 5600 | Zen3 | 6/12 | 4.4/3.5 | 35 | 65W | 199 |
Ryzen5 5500 | Zen3 | 6/12 | 4.2/3.6 | 19 | 65W | 159 |
Ryzen5 4600G | Zen2 | 6/12 | 4.2/3.7 | 11 | 65W | 154 |
Ryzen5 4500 | Zen2 | 6/12 | 4.1/3.6 | 11 | 65W | 129 |
Ryzen3 4100 | Zen2 | 4/8 | 4.0/3.8 | 6 | 65W | 99 |
※表はAMD公式の3月15日プレリリースから抜粋。
Ryzen5000シリーズの価格推移
2022年3月以降既存のRyzen5000シリーズの値下がりが顕著になっています。
Ryzen5 5600Xを例にするならば、記事執筆時点で約30,000円前後まで値が下がってお買い得感がヤバい。
これに下位モデルである5600や5500が追加されるということなので、価格構成的には日本国内価格にも期待が持てそうな予感です。
Ryzen5000シリーズ拡充は世界情勢の副産物?
もともと2022年は、Intelの第12世代CPUに対抗するRyzen7000番台が話題の中心になるであろうと思ってました。
が、長引く半導体不足や世界情勢不安から、一説によると7000番台の発売時期が多少後ろにずれる可能性があるらしい。(ソース不明の不確定情報です)
で、急遽?5000番台の拡充によってAMDの市場シェアを確保する狙いがあるとかないとか。(勝手な予測です)
まぁもともと5000番台のラインナップが穴あき状態だったので拡充の計画はあったと思いますが、ちょっと待たせすぎでは?と思ってしまうのも仕方がないことです。
Ryzen5000拡充はAM4規格の集大成?
CPUには対応ソケットを搭載したマザーボードが不可欠で、Ryzenシリーズは長期にわたってAM4ソケットを使い続けてきました。
Intelは2世代ごとに対応ソケット規格を刷新するのに対し、AMDはずっと同じAM4規格だったのでCPUの載せ替えコストが安く済むのが特徴の一つと言えます。
で、Ryzen5000シリーズ拡充にあたってもAMDは300シリーズチップセットのBIOS対応サポートを4月から開始すると発表しているため、BIOSアップデートによってマザーボードの買い替えをせずにRyzen5000シリーズを導入することが出来るユーザーも多いことでしょう。
で、Ryzen5000シリーズ導入にあたって注意することが一点。
今後発売されるであろう次世代モデルのRyzen7000番台からは、ソケット規格がAM5に変更されることがわかっています。
DDR5メモリへの対応など刷新される規格が多いので当然のことなんですが、ということは、7000番台への乗り換え時期にはマザーボードの買い替えも必ず必要になるという事です。
なので、Ryzen5000シリーズ拡充を機にAM4マザーを新調しようと考えている場合、そのマザーボードが次のCPU乗り換え(7000番台への乗り換え)時には使えなくなってしまうということを覚えておきましょう。
とはいえRyzen5000番台CPUなら性能面でGPUなどの最新パーツ群の足を引っ張ることはまずないので、数年単位で運用することも問題なく可能でしょう。
さらに言えば、長期展開で枯れたAM4は信頼性も高く、AM5の登場を控えてセール対象になることも増えるでしょうから“お買い得”ととらえることも出来ると思います。
どうしても最新の7000番台じゃなきゃ嫌だ!というかたはもうしばらく待ってもらうとして、2022年春はRyzen5000シリーズに注目です。
同時にゲーミングPCのセール情報やラインナップの更新もチェックしておきましょう。