ゲームばかりで勉強しない?だったら勉強になるゲームをすればいい

  

『うちの子が勉強せずにゲームばっかりしています。』という悩みをお持ちの親御さんは多いと思いますが、私の経験上、わりと簡単に解決する方法があります。

大切なのは「ゲームは悪である」という固執した考えを捨てること。
そして知的好奇心に繋がる良質なゲームタイトルを知ること。

無理やりつまらない勉強を強いるよりも、楽しくゲームをしながら「もっと知りたい」という学習欲を刺激できるゲームタイトルを何本か紹介してみます。

ちなみに、学びの定番「マインクラフト」はあえて除外します。

信長の野望

まずはベタなところから「信長の野望」シリーズです。
歴史ゲームの代名詞であるKOEIが手掛ける歴史シミュレーションシリーズの金字塔ですね。

すでに数十年にわたってシリーズ展開されている名作で、私も実際に小学校高学年の頃にハマってました。
信長の野望のおかげで日本史(特に安土桃山時代)に興味を持ち、自発的にいろいろなことを調べるようになった結果社会の授業に得意意識を持ち、大人になった今でも日本の名城や戦国大名に詳しく、大河ドラマを見ても国内旅行をしても求められてもいない蘊蓄があふれ出す程の知識を蓄えることが出来ました。
最も尊敬する黒田官兵衛が大河ドラマ化されたときはマジでうれしかった。

信長の野望ってどんなゲーム?

日本全国の戦国大名から1大名を選び、全国統一を目指すシミュレーションゲームです。
領地の治水灌漑、人事登用、軍備増強などの仕事をこなしつつ時が来れば戦を繰り広げ、他国を謀略し勢力を拡大していくという非常に硬派な内容ですが、男の子なら憧れがちな題材だと思います。

信長の野望で学べることは?

まずは日本史、特に安土桃山時代に限定した知識が身に付きます。
歴史的なイベントも発生するため、鉄砲伝来や各地の有名な合戦についてかなり身近に感じることが出来ます。

次に地理的な知識も身に付きます。
日本各地の地名は当時のものになりますが、常に日本地図とにらめっこしながらプレイすることになるので地理地形についての理解はぐっと深まります。
自分が住んでいる土地の大名で全国統一を目指す!というのも必ず通る道ですね。

信長の野望をブーストする

ただ買い与えてプレイさせるだけでもハマれば効果はありますが、さらに知的好奇心をブーストさせてみましょう。

まずは何よりも、一緒にプレイすること。
お互いに競い合ったり同盟を組んだり、一緒にプレイすることで歴史ロマンの深みへ引きずり込むことが出来ます。
そして自分も一緒に引きずり込まれてしまいましょう。

そして大河ドラマを見ます。
うまいこと戦国時代がテーマの年にあたれば完璧です。
自分が操作していた武将がドラマになるだけでも好奇心マックス。
学校では習わない細かいディティールが、さらに知的欲求をくすぐってくれます。

さらに国内旅行も効果的ですね。
ゲームで覚えた土地を実際に体感して「武田の領地だった山梨に泊まろう!」「ここがあの関ケ原!?マジで!?」「ここに家康が祀られてるの?」なんて会話が出来るようになったらもう作戦成功です。
ゲームの知識やレジャー体験が学校の授業に結び付いたときに授業を楽しいと感じ、興味があることを自分で掘り下げて調べられるようになりますよ。

信長の野望で気を付けること

「三国志」も信長の野望と並ぶ歴史シミュレーションゲームの代表格ですが、三国志は中国の歴史が題材であるためゲームの枠を超えて実体験に結び付けていく工程がなかなか実現できません。
そのため信長の野望と比較するとちょっと学習価値は低いと思います。

また、同じ戦国日本史を題材としたゲームに「戦国無双」がありますが、こちらも学習価値としては低いと言わざるを得ません。
爽快感重視のアクションゲームであるため脳筋プレイに陥る場合が多く、知的好奇心には結びつかないでしょう。

どちらも面白いゲームなんですけどね、残念です。

The Hunter ~Call of the Wild~

2本目はちょっと変化球ですが、「The Hunter」 を挙げます。

空前のキャンプブームで自然と戯れる機会が多い時代なので、さらにこのゲームで知的好奇心を呼び覚ましてみましょう。

The Hunter ってどんなゲーム?

The Hunter は狩猟を題材としたゲームです。
壮大な自然の中を歩き回って獲物を見つけ、ライフルで仕留めてまた次の獲物を探す。
これまたとても硬派なゲームですが、FortniteやApexが流行っている現状では銃を撃つゲームに興味を示す子供も多いと思います。

The Hunter で学べることは?

狩猟ゲームなので銃に詳しくなるのは当然ですが、まぁ日本に住んでいる限りは必要のない知識ですね。

それよりも注目すべきは理科(生物)的な知識と興味じゃないかと思います。
狩猟を成功させるためにはどんな動物が生息し、どのように暮らしているかを知る必要があります。
ヘラジカの大きさ、ウサギの速さ、クマの恐ろしさ。
そしてライフルで獲物をしとめた場合、臓器のどこにHITしたかという情報も画像と共に確認し、より効率の良い狩猟の方法を考えることになります。
こんなに真正面から「命」に向き合う教材ってほとんど無いんじゃないかな?というほどに。

そして、狩りとは、自然とは、命とは何なのかという問いを通じて、生命への畏敬の念を育んでいく。
ちょっと大げさですが。

The Hunter をブーストする

The Hunter 自体はかなりおおらかなゲームなので、何も感じることが無ければすぐに飽きてしまうかもしれません。
やはり知的好奇心をくすぐるには実体験とのリンクが重要なわけです。

例えば、最近は市街地に野生の獣が侵入して猟友会に処理されるといった出来事が増え、しきりにニュースで取り上げられています。
そんなニュースを見て、「猟友会ってどんな組織?」「日本で猟銃を所持するにはどんな免許が必要なの?」といった疑問がThe Hunter の知識とリンクすることもあるでしょう。
また、市街地に野生の獣が出没する理由や危険性を考えることで自然と人間社会の関係性を考える機会になるかもしれません。

例えば冬にスキーやスノーボードに行ったときに、リフトから動物の足跡を目にする機会もあるでしょう。
そんな時は「あれって何の足跡?」「日本にはどんな動物が生息してるの?」といった生態系への興味に繋がることもあるでしょう。

空前のキャンプブームである今だからこそ、キャンプ場でいろんな生物を見かけることもあります。
夜のテントの中で外の獣の物音に想像を膨らませることだってあるでしょう。

ゲームで触れた「自然」を、現実に感じた「自然」に重ね合わせることで理解と興味をより深めていくことが出来ると思います。

The Hunter で気を付けること

狩猟ゲームですから、とうぜん動物を殺すことになります。
その際には血も出ますし、苦しんでいる様子を目にすることもあるでしょう。

ここで大切なのは、一見残虐な狩猟という行為を軽く捉えることが無いようにしっかりと意味を教えること。
見ようによっては残虐なシーンですが、見ようによっては人間が生きるために必要な行為でもあります。
命の教育を施すための機会として、動物を狩るということがどういうことなのかを一緒に考えてみてください。

一番マズイのは、残虐だからという理由でプレイをさせないこと。
教育と向き合うことを放棄しないでください。
The Hunter はとても硬派でとても上品なゲームです。

大切なことは「興味」を伸ばすこと

大切なのは「学校の勉強をすること」ではなく、「学びへの興味を持つこと」です。
「学び」とは「学校」を指すのではなく、生活のあらゆる場面で出会い、気づき、興味を持ったものを「面白い」と感じ「知りたい」と欲することです。

いろいろな体験を通じて「知識を得ることの喜び」を実感することが出来れば、学校での勉強が実は実生活に繋がっているということにも気づき、興味を向けるようになります。

そんな体験を得るための課外授業のひとつとして、上質なゲームが一役買うこともあるんですよね。

もちろん、ただ時間を浪費するだけのクソみたいなゲームもたくさんあります。
そんなゲームの中から「学び」のあるタイトルを探せるようになるには、親もゲームを一緒に楽しんでみる=親がまず興味を持つというのが一番の近道なんだと思いますけどね。